ビジネス・実用書レビュー
『嫌われる勇気』〜自己啓発の源流「アドラー」の教え〜後編

補助金リーチ.comのビジネス・実用書レビューは1冊の本の書評を前編・後編2回に分け、毎月第2・第4月曜日(祝祭日の場合は翌日)にお届けいたします。
第2回は、Amazonをはじめとするビジネス・実用書の歴代ランキングで必ずランクインしている、ダイヤモンド社 岸見一郎・古賀史健著『嫌われる勇気』の後編となります。前編はこちらです。

嫌われるという言葉が表すもの

「嫌われる」という言葉をタイトルに使ったのには、読者に強いインパクトを与える目的があったと思われます。
しかし、そのタイトルが与えるインパクトを優先するためか、共有されるべき前提を割愛しています。
青年のように自由に生きることを自分勝手に迷惑を顧みず手段を選ばずに生きることと考えているなら、それを推奨しているのではありません。
むしろ周囲の秩序や決まり事や社会通念を尊重するために自分を押し殺して生きているタイプの人を対象に、嫌われる覚悟で主体的に選択して生きることを推奨しているのがこの本およびアドラー心理学なのです。

この本の青年が代表するような、「嫌われる」ことを恐れ、自分を抑え偽り誤魔化すことで社会集団にとって有用な存在であろうとするあまり、自分らしさから遠く離れて生き辛さを感じている人々にはびっくりするようなタイトルであったことでしょう。
従順であること、空気を読むこと、言われなくても察して立ち回ることを期待されていると感じ、それを遂行することで社会集団の中で自分の居場所を持てると感じる人々に、「生きづらいと感じるなら、勇気を出して嫌われなさい」と教えを説く哲人は、青年から反発を受けます。

これは何も従順と言われがちな日本人に限った話ではありません。むしろ人類共通の普遍的な問題でもあります。

「嫌われる」ことなど、日本人に比べてはるかに自己主張の強そうな欧米人には無縁な恐れと思われることでしょうが、アドラー自身が欧米人であり、アドラー心理学が出身地のヨーロッパよりもアメリカで受け入れられて広まったことを考えると、空気を読むことのプレッシャーに悩み、主体的に選択して生きることの難しさは、洋の東西を問わずあるのだということを表していることに注目してください。
欧米のように争ってまで強く自己主張をするよう勧める文化の中でも、自分が属する社会集団の中で「嫌われる」ことは己の存在に危機感をもたらすほどのものなのです。

つまり、社会集団に属している限りどんな文化に身を置こうとも、「嫌われたくない」vs「自由でいたい」という葛藤から逃れることはできないということを意味しているのだと思われます。

人間とは個であり集団の構成員である

ここで、社会集団において「嫌われる勇気が問われる」とはどういうことなのかを理解してみたいと思います。

「共同体感覚」をどう捉えるかという問題があるのですが、そこはテレビドラマと同じようにある程度バサッとやってしまいましょう。

一番身近な社会は家族です。この家族関係において「共同体」とは何かといえば「◯◯家の一員」といったものでしょうか。さらに広げて「◯◯町の住人」「◯◯県民」「◯◯国民」あるいは「男性」「女性」「20代」「30代」「40代」などでしょうか。
ただ、このアドラーの共同体はただ背景を共有している社会集団という意味にはとどまらず、人類という何か壮大な目的を持った共同の体という意味があると言っても良いでしょう。

青年が社会の秩序を守ることを重視して他者のことを大事にしているようで、実は自分が他者からどう見られるのかという自分のことを大事にしていることを感じ取られた方は、この共同体感覚を持っているかもしれません。
青年は社会集団の掟や流行や価値観に頼っており、何かの結果として自分を捉えています。
一方、哲人は個人を社会集団に影響を与えてより良い共同体への貢献者として、社会集団に新しい流行や価値観を送り出す存在として捉えています。

青年の捉え方が間違っているのではなく、偏っていることに問題があると哲人は見ているのではないでしょうか。

つまり、社会集団も個人もお互いにとってキッカケであり結果であるという見地に立つと、従順な反応としての集団の構成員であることも大切であり、同時に「嫌われる勇気」を出して集団に対して新しい働きかけをする個人であることも重要であるということになります。
アドラー心理学で提唱されている「共同体に貢献する」ということが、従順すぎるあるいは貢献するには特別に優秀である必要があると考えがちなタイプの人にとっては、嫌われる勇気が必要だと、著者である岸見一郎・古賀史健両氏は訴えているのではないでしょうか。

ビジネスを世に送り出すとは

以上のようなことが社会集団から求められているのであれば、このコラムをお読みの中小企業を経営されている方々はご自身のワクワクするビジネスのアイディアをこの世に送り出し、新しい価値を創造し、より良い人類の進化に向けて働きかけを行って、その求めに応えているということがいえるのではないでしょうか。

また、新しい試みには失敗はつきものです。
事業を興して経営するような、選択の自由と責任について自覚している個人であれば、自分の試みの失敗にめげることなく、失敗から学び新たな試みへとつなげることができます。

永続企業として生き残るのは、社会に必要とされる事業を展開することが不可欠です。バブル崩壊以来の世界的なデフレによってモノが売れなくなって久しい現代の社会は、20年にわたって新しい価値を求めており、貴社の新しい事業計画を待っていると言っても過言ではないでしょう。

もし、その新しい事業のアイディアを世に送り出すための資金にお困りなら、補助金・助成金制度をご活用いただき、ワクワクする新しい価値をどんどん世に送り出してください!

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ライター:鶴見紀子(True Color Create / WE GiRLs CAN

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