社会保険の月額変更届について②

こんにちは。社会保険労務士の大川陽太郎です。
今回は、「社会保険の月額変更届について①」の続きです。

■要件① 固定的賃金の変動、給与体系の変更について

月額変更届は、「固定的賃金が変動」した場合や「給与体系の変更」が行われることを条件としています。
「固定的賃金」とは、稼働や能率に関係なく、支給額や支給率が決まっているものです。

具体的には、以下の通りです。
▶固定的賃金:基本給、家族手当、通勤手当、住宅手当、役職手当、固定残業手当など

一方で、残業手当や皆勤手当などの稼働実績に応じて支給されるもの(非固定的賃金)の変動のみでは、月額変更の対象になりません。
▶非固定的賃金:残業手当、皆勤手当、休日出勤手当、能率手当など

つまり、昇給や降給が行われたり、通勤手当や住宅手当などの毎月定額で支払われる手当に変動があったときは、固定的賃金が変動したことになります。

一方で、時給から月給へ変更したり、役職手当や家族手当が新規で支給された場合は、「給与体系の変更」が行われたことになりますので、月額変更の要件に該当します。

■要件② 2等級以上の差が生じること

固定的賃金の変動月以降引き続く3か月間に受けた給与の平均の標準報酬月額と、現在の標準報酬月額を比較し、2等級以上の差が生じることが必要です。

たとえば、従前の標準報酬月額が240,000円(健保:19等級、厚年:16等級)の人が、固定的賃金の変動月以降引き続く3か月間に受けた給与の平均額に該当する標準報酬月額が、280,000円(健保:21等級、厚年:18等級)以上に該当すれば、2等級以上の差が生じたことになります。

月額変更

なお、固定的賃金の変動のみでは2等級の差がない場合でも、残業手当などを含めて2等級以上の差になれば月額変更届の対象になります。

■要件③ 変動月以後、継続した3カ月の支払基礎日数がいずれも17日以上あること

最後の要件になりますが、固定的賃金に変動のあった月以後継続した3カ月の支払基礎日数はいずれも17日以上であることが必要です。

「支払基礎日数」とは、簡単に言うと勤務日数です。月給者の場合でいうと、欠勤が1日も無い月は、暦の日数になります。欠勤が1日でもある月は、該当月の所定労働日数から欠勤日を引いた日数になります。

この3カ月に、支払基礎日数17日未満の月が1カ月でもあれば、たとえ2等級以上の差が生じても月額変更は行われません。

■具体例

例えば、標準報酬月額が240,000円(健保:19等級、厚年:16等級)の人が、1月に昇給があり、1月・2月・3月の各月とも報酬の支払基礎日数が17日以上ある場合は、1月・2月・3月に支払われた給与の合計額を、その月数「3」で割って算定します。

月額変更の図2

280,300円(1月分)+289,300円(2月分)+292,4000円(3月分)÷3=287,333円 ※円未満切り捨て
新しい標準報酬月額➡280,000円(健保:21等級、厚年:18等級)

なお、月額変更に該当すれば、固定的賃金が変動した月から起算して4カ月目に新しい標準報酬月額に改定されます。上記例でいうと、1月に昇給が行われたため、4月分から新しい標準報酬月額(280,000円)に改定され、新社会保険料が適用されます。

■最後に

月額変更届は、固定的賃金に変動があったり、給与体系の変更が行われたるたびに、月額変更の対象者の確認をしなければなりません。

実務では、月額変更の該当者チェックを、毎月行うことになると思います。給与計算ソフトなどで、月額変更の該当者の自動判定を行ってくれますが、自動判定が正確に行われているかのチェックは必ず必要です。

該当者の賃金台帳を準備して、上記3要件を満たしているかの確認を行いましょう。年金事務所の調査があった際は、月額変更の漏れを指摘されてしまいます。月額変更の3要件をしっかり押さえて、月額変更届の手続を忘れず行いましょう!

大川社労士事務所
社会保険労務士 大川陽太郎
URL:http://www.okawa-lssa.jp

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