書評

ビジネス・実用書レビュー
マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』アメリカのメンタルヘルスマネジメント〜1/4

補助金・助成金の強い味方、補助金リーチ.comのビジネス・実用書レビューは1冊の本の書評を前編・後編2回に分け、毎月第2・第4月曜日(祝祭日の場合は翌日)にお届けいたします。
今回は2019年の初めにダイヤモンドオンラインに掲載された「東大で史上一番売れた本」のランキングで1位となった、大変読み応えのある本、ハーバード大学で「正義」というテーマで政治哲学の講義をしているマイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう~いまを生き延びるための哲学』早川書房を取り上げます。少し長くなってしまったので、4回に分けて2か月間にわたってお届けいたします。

これからの正義の話をしよう

目次

哲学~入口はこちら

この本はハーバード大学のマイケル・サンデルが約30年に亘って政治哲学の講義をした中で深まっていった「正義」に関する書物です。英語でアメリカの文化を背景に考察され議論されてきた考えです。
この本には正義の議論で繰り返される三つの理念に「幸福の最大化」「自由の尊重」「美徳の促進」が出てきます。
哲学は考える学問です。考えるツールとしての言語と、その言語が生成された文化に大きく影響を受ける学問でもあると思っています。

私事ではありますが、先日ニューヨークへ行くチャンスがあり、自由の女神像の立つリバティ島とかつて移民局があったエリス島へ観光をしました。その際、入植者たちがアメリカを聖書の「マタイによる福音書」にある理想社会「丘の上にある町」を建設する地であると信じ、豊かになることは神の祝福を受けることであるという考えが「アメリカンドリーム」を支えていたということを知りました。

先に挙げた理念の一つである「幸福の最大化」は現代のアメリカ人の先祖たちが欧州での暮らしを捨て、「理想社会の建設」に携わるのは自分たちであるという選民意識と共にアメリカに渡り、一生懸命働いた報いとして神の祝福である「富」を手にする権利がある、という考え方をベースにしていることを知る必要があると感じました。

では、哲学=考えるとはどういうことでしょうか?

物心がつく頃、私たちは自分が存在していることを認識するといわれています。環境としての家族と自分を別の存在として認識するということですが、私は赤ん坊でもその認識はできていると考えています。ただ、自分と他者の間に発生する葛藤の処理を年長者に大きく依存しているために、あまり他者との差異を意識する場面が少ないだけではないかと考えます。
つい横道にそれてしまいましたので戻ります。

思春期の頃には学校で自分のポジションを認識します。
やがていつか自分が子ども及び学生であるという立場を失い、社会に社会人として出ることを意識しながら、どんな自分になりたいのかを決めるよう促されます。
これが「考える」事始めかもしれません。
もしかしたら、どんな自分になりたいのかなどという問い以前に、自分が何者なのかもわからない思春期の若者にとっては、友だち、あるいは好きな人にどう思われるかということの方が考える事始めなのかもしれませんが。

2/4につづく


ライター:鶴見紀子(True Color Create / WE GiRLs CAN

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