書評

ビジネス・実用書レビュー
マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』アメリカのメンタルヘルスマネジメント〜2/4

補助金・助成金の強い味方、補助金リーチ.comのビジネス・実用書レビューは1冊の本の書評を前編・後編2回に分け、毎月第2・第4月曜日(祝祭日の場合は翌日)にお届けいたします。
今回は2019年の初めにダイヤモンドオンラインに掲載された「東大で史上一番売れた本」のランキングで1位となった、大変読み応えのある本、ハーバード大学で「正義」というテーマで政治哲学の講義をしているマイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう~いまを生き延びるための哲学』早川書房を取り上げます。少し長くなってしまったので、4回に分けて2か月間にわたってお届けいたします。

M. サンデル これからの正義の話をしよう

目次

修辞学~議論の作法

自分なりの考えを持つようになると、親や先生など大人と衝突することもあります。いわゆる反抗期ということでしょうか。
うまく自分の考えを言葉にできないまま、「世の中とはそういうものだ」と大人に言いくるめられて憤りを忘れてしまうこともあるでしょう。

修辞学という議論や弁論を学ぶ学問があります。ディベートなどもその一つです。成熟した議論は「言い負かす」とか「説得する」というゴールを目指さないのをご存知でしょうか。
目指すのはビジネスと同じウィン‐ウィンの関係、双方が納得のいくソリューションです。違う意見を持った者同士がお互いにとって納得のいく着地点とはどこなのかを論理的に探るための手段として、議論をするということなのだそうです。
「議論の作法」とでもいえばいいでしょうか。ビジネスでもゼロサムゲームになれば双方が利権や利益を奪い合う争いになり、終わりのない報復合戦になってしまいます。
いうまでもありませんが、ウィン-ウィンというのは、公正であるということです。まさに、 これからの正義の話をしよう という場面ではないでしょうか。

しかし、同時に議論の作法の中には結論の出ない議題を論じないというものも含まれます。結論が出ない議題とは「価値観に関すること」なのだそうです。
つまり、この本で論じられる「正義」や「理念」がそれにあたります。
なぜ結論が出ないのかを端的にいうと、価値観は論理的ではないからです。個人の好き嫌いや快不快といった信念や思込みに分類されるため、双方が納得のいく結論やソリューションを導くことが不可能であるというわけです。

では、それぞれの価値観の中で納得がいくとはどういう状態のことを指すのでしょうか。
次回でその辺りを心理学の世界に答えを探ってみたいと思います。

3/4につづく


ライター:鶴見紀子(True Color Create / WE GiRLs CAN

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